栗山千明diary更新(11/11)
子供の頃、茅葺き屋根の家に住んでいた。
街灯の光も田舎にはなく、裏山は深い林。
ポッカリと口を開ける古井戸の跡。
朽ち果て奇妙な幾何学模様を描く土蔵の壁。
闇は真の闇であり、異界の住人は、すぐ傍らで遊ぶ幼児の柔らかい肌に、牙を立てようとウズウズしていたに違いなかった…。
…そんな、ある夜のこと…
息苦しさに目覚めると、枕元に武者姿の影が数人、自分の顔を覗き込んでいる。
声を上げようにも唇はピッタリと互いに張り付き、隣でぐっすりと寝込んでいる祖母の耳には届かない。
そのうち彼らは自分に手を掛け、闇の中に連れ去ろうと力を込めた。
もがき、絶叫を上げた刹那。
隣の部屋で目が覚めた自分がいた。
なぜ、隣の部屋にいたのか…今となっては判らない。
聞いてはいけない声
あなたの傍にも…ほら…